金門島②―軍事化が生んだ思わぬ特産品「お酒」と「包丁」

前編では金門島がいかに重要であったかをお話ししました。軍事拠点というと何やら怖いイメージですが、実はこの軍事化が思わぬ効果を生み、他地域には無い特産品を作り出しています。後編では金門島の名物をご紹介します。

毛沢東

金門島一番の名産品はなんと言ってもお酒です。孤島で敵軍の砲撃にさらされて、となればお酒でも飲まないとやっていられませんね。金門島は中国南部では珍しい高粱(コーリャン)酒の産地です。

高粱とはモロコシのことで、主に乾燥、寒冷、広大な土地の中国北方で栽培されています。温暖多雨で土地の狭い南方は稲作が主なのですが、ここ金門島は降水量が少なく稲作には不向きな土地です。そこで代わりに高粱を栽培しています。そして中国北方から撤退してきた兵士がこの高粱を使って蒸留酒を作り始めました。これが昨年の中台首脳会談でも供されたと言われる金門高粱酒です。

さて気になるお味ですが、強いです。とにかく強いです。一般的な金門高粱酒はアルコール58度。日本の焼酎より遥かに高いですね。それでも強烈なアルコールの中にすっきり爽やかな高粱の風味が広がり、とても気持ちの良い飲み心地です。

現地人から見れば邪道ですが、ロック、水割り、お湯割り、さらにはグァバなど現地の果物ジュースで割っても美味しくいただけます。日本人だから邪道でも良いんです。

ちなみに国の政策で離島はあらゆる商品が免税なので上質な高粱酒が安く手に入ります。酒税のかからない酒どころ。なんと魅力的な島でしょう。

もう一つの名産品が包丁です。島で生産されている包丁、金門菜刀にも数奇な歴史が秘められています。包丁

中国の内戦が一段落したころ、最高指導者毛沢東は全国の人民に鉄鋼を生産するよう号令を出します。これがいわゆる大躍進政策です。1958年から約三年で1100万トンもの鉄を生産しました。

同じ時期の1958年八月に毛沢東は金門島を支配すべく砲撃を始めます。ところがこの砲戦は長期化し、中国軍は人民が生産した鉄を使ってなんと二十年間も大砲を撃ち続けました。

しかし金門島住民も逃げ惑うばかりではありません。毎回の砲撃が終わると翌日にその砲弾を拾い、打ち直して包丁に仕立て上げたのです。これが金門包丁の起こりです。この包丁には戦火に晒されながらも逞しく生きる金門島住民の魂が宿っているのです。現在では島の特産品として包丁やハサミなど様々な刃物を売り出しています。中国人民の血と汗と、金門島民の熱意がこもった金門包丁、お土産に一本持って帰ってはいかがでしょうか。もちろんこちらも免税です。

このほか中国では珍しいブランド肉の金門牛など、金門島は他には無い名産品の宝庫です。ぜひご自身の目で、舌で、金門島独特の歴史と風土を体感してください。