金門島①―金門島は中国?台湾?内戦が続いているのに平和な島

大阪府から京都府へ入るのに手続きは要りません。電車でもバスでも、歩いてでも自由に出入りできます。ところが福建省廈門市から同じ福建省の金門島に入るにはビザとパスポートが必要です。どういうことでしょう?

パスポート 金門島は廈門から目に見える位置に浮かぶ小さな島ですが、現在この島を統治しているのは中国政府ではなく台湾政府なのです。今の台湾政府とは、かつて全中国を統治していた中華民国政府です。しかし内戦の結果中華人民共和国が成立し、もとの中華民国政府は台湾に撤退しました。この時、金門島は新しい政府に占領されることなくもとの中華民国政府が守り通したので、廈門との間に事実上の国境線ができました。

台湾の旗

とはいえ今は両政府の関係も改善しており、廈門と金門島を結ぶフェリーも就航しています。また日本のパスポートがあれば中華人民共和国にも台湾(中華民国)にもビザ無しで入国できるので、渡航の心配は要りません。

それでは島に上陸しましょう。まず目に入るのは至る所に大書してあるスローガンです。

「三民主義統一中国」

「解救大陸同胞」

など内戦時代の雰囲気がそのまま残っています。

内戦をより深く体験したいなら島の北端にある馬山観測所がお勧めです。中国大陸に一番近い場所にあり、もとは「敵情」を視察するための施設でした。現在は一般開放されており、日本ではなかなか見られない軍事施設の内部を見学できます。

もう一つのお勧めは島の西側にある中華民国福建省政府です。省政府とは名ばかりで、実際には台湾側が実効支配している金門県と連江県しか管轄しておらず、しかもそれぞれの県政府が実際の業務を行っているため省政府は象徴としての存在に過ぎません。

省政府は海の近くに建っており、肉眼で対岸廈門市の市街地に建つ高層ビルが見えます。対岸に近いので当然かつてこの地は軍事要塞でした。事実上停戦した現在では雄獅堡という要塞が保存され、一般開放されています。対岸に向けた大砲がそのまま残っています。台北に避難していた福建省政府も実質停戦後の1998年にこの地に再建され、実務機能は無いものの平和の象徴のような役割を果たしています。

また金門島が軍事上の要衝となったのは近代の話ではなく、古くは清朝の時代にも軍の駐屯地がありました。この「金門鎮総兵署」は現在も残っており、福建、台湾地区で唯一現存する清朝軍事遺跡だそうです。

小さな島なのに歴史上の超重要拠点である金門島。あなたも一度訪れてみてはいかがでしょうか。